「AIサービス=Google Drive並みに安心」という誤解への反論
最近、AI関連のセミナーにしばしば参加します。そこで「セキュリティ」について尋ねると…。
「AIサービスにデータを入力するのは、Google Driveにファイルを預けるのと同じ。だから神経質になる必要はない」
そんな意見を耳にしますが。それは本当に正しい認識でしょうか?
実はこの“イコール扱い”こそ、AI時代のデータ管理で最も見落としがちなリスクのひとつです。
1. 「保存」と「解析」の違いを知っていますか?
Google Driveの本質は「ファイルの安全な保管」。
Google自身が内容を勝手に使うことはなく、ユーザーの許可や法律上の必要がなければ第三者利用はされません【[Google公式](https://support.google.com/drive/answer/2450387?hl=ja)】。
一方、AIサービスは「入力内容を学習・改善に使う」ことが珍しくありません。
ChatGPTや画像生成AIの多くが、ユーザーの会話やアップロード内容をモデル改善のために二次利用すると規約で明記しています【[OpenAI プライバシーポリシー](https://openai.com/policies/privacy-policy)】。
2. “預けた情報”がどう使われるか
Google Driveに保存したデータは、原則あなた自身しか見られません。
ですがAIサービスでは、
* あなたが入力した情報が“AIの進化”の材料として使われる
* サービス開発者が内容を監視したり、品質評価に使う場合がある
* 最悪、誤って入力した機密データが他人の生成結果に現れるリスクさえゼロではない
こうした「想定外の再利用・解析」が現実的なリスクになります。
3. セキュリティ説明だけでは分からない落とし穴
AIサービスも「Google並みの暗号化」や「クラウド保存」だけを強調することが多いですが、
* 実際には利用規約やプライバシーポリシーを細かく読まなければ、どこまで・いつまで・どう利用されるか不明なことも
* 「保存後に削除」と言いつつ、AIモデル自体には“学習済み”として情報が残る場合も
といった、表面だけでは見抜けない危険性が隠れています。
4. リスクの質も量も違う
* Google Driveの主なリスクは「不正アクセス」や「共有設定ミス」など
* AIサービスではそれに加え、「入力情報が将来別の形で再利用される」「規約変更で利用範囲が拡大する」といった新たなリスクが存在します
5. “同じクラウド”に頼らず、自分で守る
AIサービスとクラウドストレージは似ているようで、その中身はまるで違います。
「Google Driveに預ける感覚で」気軽にAIサービスを使うのは、情報管理の基本から考えると一段階足りないリテラシーです。
まとめ
AIサービス=Google Drive並みの安心というイメージは、表面的な安心感に過ぎません。
・保存と再利用の違い
・規約や運用体制の透明性
・自分のデータがどこまで使われるのか
これらをきちんと理解したうえで利用することが、AI時代の情報管理の最低限のルールです。
「クラウドだから安心」ではなく、「そのサービスが自分の情報をどう使うのか」を一歩深く確認する――
それが、今求められている本当の“情報リテラシー”です。
セミナーを開催する側がこの程度の認識でいるのは由々しき問題だと思います。
私もうっかりした事は入力出来ないと思いつつ、自分のプライバシーにどれほどの価値があるものか疑問にも思いつつ。
便利ですが注意が必要だと考えています。
【参考】
* [Google ドライブのファイルの暗号化について](https://support.google.com/drive/answer/2450387?hl=ja)
* [OpenAI Privacy Policy](https://openai.com/policies/privacy-policy)
* [日経クロステック:クラウドの落とし穴]